■うみのしっぽ

Chum88

2007年10月26日 15:50

[07北海道レポ21]


さて、ここで時間を戻して、今回の旅行でブログ仲間の本業の部分を拝見させていただいた2件について記したいと思います。
先ずは[海心窯しおのや]さんです。


9月11日、ブログで交流のある窯元さんを黒松内に訪ねます。
国道5号から黒松内市街地へ入るのですが、電話でお聞きしながら苦労の末やっと訪ね当てました。


何故ここを見学したかったのか、もちろん窯元さんにお会いしたかったということもありますが、先ずはこの塩をご覧ください。



指で触るとしっとりとした絹のような肌触りで、ちよっと舐めてみると塩っぱいというより甘ささえ感じます。

このような塩を造っている人が、当時30代半ばにしてTV局のディレクターの職を辞して和歌山から、この地で塩作りをしたいという一心で北海道の黒松内へ移住してきた人だということに大変興味を持ったのです。

今まで塩といえば塩田で天日製塩法でつくるものと岩塩を採掘するものしか知りませんでしたが、窯元さんの製塩法は海水を一旦濃縮した後に煮詰めるというもので、三段階の窯を経由して作られてます。

毎日釜焚きをしている訳ではないそうですが、この日ワタシが訪ねるということでわざわざ早朝から焚いて待っていてくださったそうです。





一旦窯に火を入れたら真夏の暑い日も冬の吹雪が吹き込む日も、一日中火加減を見ながら窯の中を手作業で静かに撹拌し続けなければなりません。

塩作りといっても窯焚きだけが大変なのではなく、写真の奥に積み上げられているだけで2日分だという薪割りの作業や下の写真のように日本海や太平洋の海から自ら海水を汲み上げてくる作業もあります。





窯元さんのモットーは「自然に感謝」という言葉だそうです。
何故この黒松内を塩作りの拠点に選んだかというと、豊かなブナ林とそこから供給される豊かなミネラルの海があるからだと答えます。





「うみのしっぽ」とはアイヌ語で塩のことを言うそうです。
更に上質の「うみのしっぽ」を追求する窯元さんの姿勢が、雪深い田舎の地で辛く単純に見える釜焚きを続ける原動力になっていると思います。

今回は「うみのしっぽ」の出来るまでを見学させていただきましたが、窯元さんの逞しい生き様に触れて感動させてもらいました。
各種テレビ、雑誌の取材が多いのも単に「北海道で塩作り?」と言うことからだけではないように感じました。

短い時間でしたが、とても良い時間を持てたことを喜んでおります。
窯元さん、ありがとうございました。

お別れの時、奥様やお子さんも出て見送っていただきました。





次は牛とろばさんとこの「肉の秘密」について記します。

07北海道レポ22へ続く
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